OOH施策の効果測定の成功事例:日産自動車様とのパネルディスカッション〜ソフトバンクワールド2018にて

2018年の7月のうだるような暑さの中、多くのビジネスパーソンがその暑さに負けない程の熱意を持ち、とあるイベントの為に集まっていました。そのイベントこそが、毎年2万人近くビジネスパーソンを集める、ソフトバンクグループ最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2018」です。

 

今回のソフトバンクワールドでは、シナラシステムズジャパンは、
オフラインの垣根を越える、日産とソフトバンクの挑戦
~日産自動車、オフラインタッチポイントからの送客数の可視化~
というタイトルのパネルディスカッションで登壇させていただきました。

同パネルディスカッションでは、

日産自動車株式会社
日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部 主担
吉野 浩正 氏

ソフトバンク株式会社
法人事業戦略本部 デジタルマーケティング事業統括部
データWiFiビジネス推進室 室長
若杉 宜弘 氏

と共に、弊社執行役員 ヴァイスプレジデント 松塚 展国 が登壇し、


「日産自動車様の課題解決にいかにシナラのソリューションを活用したか?」
それを皮切りに「今後のO2Oマーケティングにはどのように取り組むべきか?」という所まで、闊達なディスカッションを繰り広げました。

おかげさまで当日は予約の時点で満席となっており、当日ご参加できなかった方や、遠方の方のために今回は当日の熱をできる限りそのままにルポルタージュしたいと思います。

「場所→場所」の可視化が困難であるため、
オフライン施策の効果測定も困難である現状

まずそもそもの前提として、日産自動車様の扱う自動車は、販売店(ディーラー)への来店前には購買の意思決定が既にほとんど終了しているという現状がありました。これはとりわけ昨今において顕著な傾向で、20年前では自動車の購入を検討している見込み客は4つから5つの販売店を回り、相見積りをとって、その中から選ぶという流れが一般的でしたが、現在では、生活者とのタッチポイントが増えたことで、複数の販売店を回るのではなく「これだ」と決めたメーカーの販売店1店舗のみに足を運ぶように、カスタマージャーニーが大きく変化しています。そのため、日産自動車様はショッピングモール内にブランド体験型施設を設置し、実際に見込み客にブランドに触れていただくことで、販売店への来場者数を増やそうという取組をされていました。

しかし、ここに2つの課題があります。1つ目の課題は「ブランド体験型施設の販売店への来店寄与度の正確な可視化が非常に困難であること」、そしてもう1つの課題は「ブランド体験型施設来訪者は一体どこまで遠くの販売店まで足を運んだか、また店舗来訪前にWEB上ではどのような行動をした上で店舗に来訪しているか、さらに、店舗に来訪した後の、WEB上での行動が不明瞭であること」といった、店舗をお持ちのクライアント様ならではの課題です。前者はブランド体験型施設自体の投資対効果(ROI)に関する課題、後者はカスタマージャーニーに関する課題です。

従来のソリューションでは、これらの効果を正確に可視化することはほとんど不可能でした。来店寄与度は、販売店でのアンケートや企業のメールマガジンへの登録を以て初めて計測することができるものでした。とりわけ後者のカスタマージャーニーに関する課題は、今後の出店戦略やデジタルマーケティングの戦略に関わる重要な数値であるにもかかわらず、これまでは技術的な制約のためにブラックボックス化していました。しかし、シナラ独自の位置情報サービスを活用することで、それら課題の解決を可能にしました。その事例の詳細と成功要因についてが今回のパネルディスカッションのテーマの1つです。

これからO2Oマーケティングに取り組もうとされている企業のご担当者様にとっては非常に大きな気付きになるのではと思います。これについてもパネルディスカッションで触れていますので、ぜひご覧いただければと思います。

シナラの分析で何が見えてきたか?2つの貴重なデータ

シナラの提供したVENUE VITALICS™は、まさに場所から場所への移動の分析サービスです。このソリューションを活用することで、これまで肌感覚でしか感じられていなかったOOH等のオフライン施策がどれだけ来店に寄与しているのかを定量化することができるようになりました。今回の活用事例では、分析の結果として、貴重な2つのデータを取ることができました。

1つ目のデータは、ブランド体験型店舗の来訪者がどれだけ実際に販売店に足を運んでいるのかの比率です。この数値は吉野氏にとっては、想定以上の数字だったと驚いていらっしゃいました。この数字が見えることでブランド体験型の投資対効果(ROI)が可視化できるようになったというのが非常に大きいとも評していらっしゃいました。

またもう1つの重要なデータは、ブランド体験型店舗の来訪者が、どれだけ遠くの販売店にまで送客ができたかのデータです。これは今後の出店戦略にまで影響を与える大変貴重なものであり、今後の販売店との協力関係もより密にすることができるとおっしゃっていました。

2つのデータに共通して言えることとしては、今回の分析サービスによって、非常に事細かに可視化することができ、非常に貴重なものだということです。
このように、ついにオフライン施策もデジタルマーケティングのように計測できるようになってきた、というのは松塚の談です。数字として計測できることで、これまでのデジタルマーケティングと同じく、PDCAサイクルをオフライン施策に関しても高速で回すことが可能になってきた、と非常に可能性の感じられる事例でした。

さて、パネルディスカッションではさらに話を進めて、今後のO2Oマーケティングの向き合い方についても触れました。

O2Oマーケティング推進における2つの障害

まず、ソリューション提供者として松塚がこれまで100社以上のクライアントと関わってきた中で感じるO2Oマーケティング推進における2つの障害についてお伝えしました。

1つ目の障害は、クライアント企業の組織間の壁です。テクノロジーの進歩によって、生活者の行動、例えば来店してから企業サイトを見たり、逆に企業サイトを見てから来店したり、といった複雑なカスタマージャーニーを可視化することができるようになってきました。しかし、一方で企業は未だ従来通りの店舗担当の部署とECサイト担当の部署が分断していることが散見されます。もちろん組織の改変というのは突然には難しいとは思いますが、横断プロジェクトとしてO2Oマーケティングを進めることで成果が出やすいし、さらにそれこそが生活者にとっての利益にもつながると考えている、というのは松塚の言葉です。

そしてもう1つの障害は、100%の精度を求められる風潮です。O2Oに関するソリューションは他社も含めて拡大推計を行っているものは多いです。しかしそれに対して100%の精度になるまでソリューションの発展を待って導入するとなるとレイトマジョリティとなってしまい、他社に遅れを取ってしまいます。実際吉野氏曰く、デジタルマーケティングのキモはPDCAを高速で回せるところで、そのためにはまずやってみて、その後にレポートを元にチェックし、計画を立てたのが今回の成功要因ではないかとおっしゃっていました。

なぜ今回の事例はうまくいったのか?

最後に、成功要因の話に少し触れたので、なぜこの事例がうまくいったのかについて吉野氏と松塚に聞いてみました。

松塚は、直接日産自動車というクライアント企業のご担当者様とお話ができたことで、本当にクライアントの課題と、それに合わせたソリューションを提供できたこと、さらには課題を深く理解したことで、出てきたレポートの数値もどのような切り口で考えたら良いかを一緒になって考えることができたのが大きいと述べました。

吉野氏は、松塚が述べたことに加え、ワンチームで同じ方向を向いて、サービス提供者や広告主という立場を超えてディスカッションをできたことで、PDCAサイクルが高速で回すことができたのが大きいのではないかとおっしゃっていました。

多くの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

シナラでは、日産自動車様のような成功事例を一緒に作っていけるクライアント様を常に探しています。ご興味のある方はお気軽にご連絡下さい。どうぞよろしくお願いいたします。

 

今回日産自動車様が活用された

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