「PDCAサイクルを回すには適切なKPI設計が必要!4つの指標でO2Oマーケの成果を可視化」
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」それぞれの頭文字を並べた言葉で、継続的に仕事の品質を改善するときに用いるフレームワークです。
起源は第二次世界大戦前後と歴史がありながら、現代社会のビジネスでも通用する業務改善の本質が詰まっています。近年注目されている「O2O」領域で成果を出すにも欠かせないマネジメント手法です。
PDCAサイクルを回すには適切なKPIの設定が欠かせません。しかし、前例の少ないO2O領域では適切な指標選びに苦戦を強いられます。今回はPDCAサイクルを回すための基礎知識から、O2O領域で結果を出すために必要なKPI指標を4つ紹介します。
「PDCAサイクルを回す」とは?
PDCAサイクルを回すとは、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(確認)」→「Action(改善)」からなる1サイクルを実行することです。課題解決のフレームワークとして広く知られていますが、PDCAサイクルの必要性や回す方法を詳細に説明できる人は少ないのでは。
この項では、用語の意味やPDCAサイクルを回す必要性、O2Oのマーケティング領域でPDCAサイクルをどう活用するかを解説します。
Plan,Do,Check,Actionの本当の意味
「Plan(計画)」は最終的な目標を定め、達成までの戦略スケジュールを決めることです。ここで大事なことは目標を明確にすること。「いつかお店の来店数を増やす」といった抽象的な目標ではなく「今年の7月までに来店数を150%アップさせる」のような、第三者からも達成度合いが判断できるように数字を入れて具体化させます。明確な目標が決まれば現状とのギャップが分かるので、そのギャップを埋める解決策を考案できます。そしていつどのように実行するか、スケジューリングするまでが「Plan」の段階です。
「Do(実行)」は「Plan」で立てた目標や戦略をもとに、解決策を実行していくことです。
ここでのポイントは戦略を行動に移せるようにタスク化していくことです。「新規顧客を来店させるためにイベントを開催する」ことが解決策なら、それを実行するために「毎週水曜日の企画会議でイベントの案を3個以上出す」とタスク化してスケジュールに落とし込んでいきます。後はそのタスクを正確に実行するのみです。
「Check(確認)」の段階では、タスクを実行した結果、「Plan」で立てた目標がどの程度達成されたのか確認します。評価指標が抽象的だとサイクル検証ができないので、目標や行動指標を数値化しましょう。「来店数を150%アップさせる」という目標に対し施策が効果を出しているのか、「毎週水曜日に企画を3個以上だす」というタスクが計画通りに実施されているか確認します。
「Action(改善)」は、「Check」で明確になった課題に対して改善策を考案することです。達成できなかったばあいは失敗要因を分析し、達成できたばあいでも成功要因を分析することが重要です。イベントのクオリティが高かったのか、口コミでお店の評判が広がったのか、その気づきをもとに次回のPDCAサイクルに向けた改善策を考案、または計画の軌道修正をしてゆきます。
なぜPDCAサイクルが大切なのか
具体的な目標を立てて解決策を練り行動に移す。その結果を検証し改善策を考案することで、当初の課題と別の課題が浮き彫りになるはずです。ここで大事なことは、継続的にPDCAサイクルを回し続けること。新しい課題に対して「Plan」→「Do」→「Check」→「Action」のサイクルを回し続けることで、業務のクオリティは改善されていきます。
PDCAサイクルを続ける上で大事なことはスパイラルアップしつづけることです。スパイラルアップとは、1サイクルを終えて得た知見を生かして次の「Plan」を練ること。施策の精度が向上し、業務効率が継続的に改善されるとともに、変化し続けるマーケティング市場に適応しながら目的の達成に近づけるのです。
O2OのマーケティングでPDCAサイクルを上手に回すコツ
ここからは、PDCAサイクルをO2Oの領域に当てはめて考えます。PDCAサイクルを使ってよりスムーズに施策の効果を出すには、明確で適切な目標を立てること、その結果をプロジェクトメンバーで共有して正確に判断できること、そのシステムの構築が不可欠です。
適切なKPIを立てる
正しいKPI指標のもとPDCAサイクルを回すことで、無駄の少ない施策を打ち続けられます。では、O2Oにおける適切なKPIとはどのようなものでしょうか。
デジタル上で完結するマーケティングに比べ、オフラインの売り上げや来店数を考慮するO2Oは、効果の可視化が難しいとされてきました。ラインディングページのPVや公式SNSのフォロワーが増えても、実際のコンバージョンが増加しているとは限らないのです。
デジタル広告がオフラインでのコンバージョンに貢献したかを測定するには、店舗などリアルな場所に紐づいたデータを用いての確認が必要です。
これまでよく採用されてきた評価手法は、アンケート調査で来店のきっかけを聞く、Webで配布したクーポンの利用から実数を測るなど。しかし、アンケートは顧客の自己申告であるためにデータの精度が低く、クーポンは使用しなければ来店数としてカウントされません。
このように、オンラインの施策がオフラインにどう影響するかを正確に把握するのは困難でした。しかし、位置情報技術の進化により、Wi-FiやGPSなどを使って、ユーザーの実際の行動を限りなく正確にキャッチできるようになりました。
例えばシナラの「リアル来客分析™」なら、Wi-Fiを使った独自の検知技術で、オンラインで広告を踏んだ人が店舗に訪れたかを判定できます。これは、O2Oマーケティングの新しいソリューションとして、大手自動車メーカーや日用品メーカーでも活用されている技術です。
PDCAサイクルの成果を共有できるようにレポーティングする
PDCAサイクルの進捗や結果を共有するためにレポーティングすることが重要です。定期的にチェックする場を設けることで、早い段階での軌道修正、業務のマンネリ化を予防できます。
レポートで社内全員が正確に結果を判断するには、後述する5W1Hを明確にした具体的な目標が欠かせません。
5W1Hを明確にする
PDCAサイクルを回す上で大事なことは、Planの段階で目標を明確にすること。そこで意識すべきは、5W1Hです。「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」を定めることで、「Check」の段階で正確に検証ができ、また目標の具体化でやるべきことや期限が定まることでモチベーションアップも期待できます。
O2O時代のPDCAサイクルで、成果を出すために考慮したい指標4選
O2Oの施策には、TwitterやYouTubeなどのSNSを用いた広告、リスティングなどのデジタル広告、アプリなどと連動したクーポン配布が一般的です。
また、そのターゲティング手法はさまざまで、Wi-FiやGPS、ビーコンなどからユーザーの位置情報を感知して、適切な場所とタイミングに広告を送る手法、WEB上のCookieデータをもとにターゲティングする手法などがあります。
しかしそのデジタル施策が、オフラインでのコンバージョンにつながらなければ意味がありません。コンバージョンの増加に向けてPDCAサイクルを回していくには、適切なKPI設計が必要なのです。
ここでは、O2O領域において、オフラインの購買行動と相関することが多いKPIを5つ紹介します。
1. コストパー来店
デジタル上で打ち出した施策がどれだけ来店に繋がるかを見る指標です。来店につながらなければ実際の店舗購入にはつながりません。これまで追跡が難しかった顧客のリアルな行動履歴ですが、最近では『シナラ』をはじめとした位置情報技術の発展によって、広告配信から来店までの導線が明らかになってきました。コストパー来店をKPIに設定した施策は増加していくことでしょう。
シナラは、来店に対する広告の効果計測ができる「REAL SIGHT®」を提供しています。
2. コストパー商品接触
実店舗に来店してどれだけ商品を手に取り、試着・試用まで及び、購買に至ったか。これまでは測定が難しかった行動履歴が、センサリングデバイスなどの登場で可視化されてきました。商品接触は購買意欲の表れなので、売り上げにつながりやすい指標と言えます。
3. コストパーブランドリフト
ブランドリフトとは、ユーザーの「態度変容」を指します。ユーザーが広告を見たことでその商品や店舗に対し、好意度、購入意欲、純粋想起などがどう変化したのかを観測します。リッチアドのような計測しづらい施策の効果を測定できる反面、観測するにはアンケート調査などで聞き取りが必要なためコストがかかるというデメリットも。
4. コストパーオーダー(CPO)
コストパーオーダーとは、受注一件あたりにかかった広告費用のことです。SNSのクーポンやアプリ会員証などと紐付けて計測することが可能。O2O領域のデジタル広告がどれほど実店舗の売り上げに繋がるか検証するための重要指標のひとつです。
まとめ
PDCAサイクルはビジネスに欠かせない基本的な、そして突き詰めるほどに効果を発揮するマネジメントサイクルです。
ただその効果を引き出すには明確な指針と、適切なKPIの設定が欠かせません。目標の在り方がズレてしまうと、どれだけPDCAサイクルを回しても無駄なプロセスに終わってしまいます。O2O領域でPDCAサイクルを活用する際はここで紹介したKPIをぜひ参考にしてみてください。