【位置情報マーケティング事例】
リアルな行動に基づいたセグメンテーションで施策の効果測定が可能に
(JPビルマネジメント株式会社)
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2016年にオープンした『KITTE名古屋』の来館計測で、Cinarraをご活用いただきました。導入をご担当いただいたのは、プロパティマネジメントを担当するJPビルマネジメント株式会社の板津雅史氏。抱えていた課題感やシナラを使ってみての感想を伺いました。
施設運用の施策立案で求められた精度の高いターゲティング
──貴社の事業内容と板津氏の業務内容について、改めて教えていただけますか?
板津:JPビルマネジメント株式会社(以下・JPビルマネジメント)は、日本郵便の所有する商業施設およびオフィスビル全体の運営・管理を中心におこなう会社です。事業者やテナントと協働し、資産価値向上や安全担保に向けた取り組みをしています。
その中で私が所属するビルディング事業部門は、施設のプロパティマネジメントを実施するチームです。具体的には、運営業務、テナントリレーションやレポーティング業務、設備保守管理業務などを行います。特に運営業務は、安定した収益を維持するための重要な業務です。ご利用いただくすべてのみなさまに快適な環境を提供しながら、マーケットニーズに適した運営管理計画を立案・実行することが求められます。
マーケティング活動の一環として、イベント・キャンペーンや掲示物の企画、広告などを使ったプロモーションも実施しています。その意思決定や効果測定に向けて、常にデータ収集の手段を探していますね。
──データ収集において抱えていた課題を教えてください。
板津:『KITTE名古屋』がオープンした2016年以来、来館者の定量・定性的な調査が満足のいく粒度でできていなかったという課題がありました。センサー式の来館者カウンターは設置していたものの、お客様の属性までを知る術がなかったんです。
どんなお客様が多いかを把握するために、店頭でのアンケートも実施していました。「KITTE名古屋にはどれくらいの頻度でご来館されていますか?」「ご来館の目的を教えてください」といったような項目をお伺いしていたのですが、それも正確なデータとはいえないんですよね。お客様が自覚している来館頻度と、リアルな来館頻度は異なっていることも多々あるでしょうから。
それらの課題は、販促の計画立案に影響を及ぼしていたと感じます。館内で実施するイベント・キャンペーンのターゲットを絞りきれなかったり、地元媒体やOOHへの広告出稿も大まかな商圏によるターゲティングしかできなかったりと、意思決定に用いるデータの粒度が弱かったんですね。
テナントさんの店舗運営にとっても、来館者の情報は非常に重要です。テナントさんがどういった方をターゲットに販促を組んでいくのか、どんな商品を提供するのか、という戦略を一緒に考えていくのも、私たちの仕事です。
とにかく、正確にたくさんの情報を収集する必要がありました。
そんな折に、彗星の如く現れたのがCinarraなんですよ(笑)。
ユーザーの志向性をリアルな行動データから抽出し、効果測定と施策改善に寄与する
──ありがとうございます。Cinarraを選んでいただいた理由を教えてください。
板津:最初にお電話をいただいたときは、話半分に聞いていました。お客様の行動データを取得することに対するコンプライアンス的な疑問を感じましたし、セキュリティ面の不安もありました。
しかし、いただいた資料を拝見したところ、さまざまな大手企業での導入実績があったんですよね。「もしかしたら、安全に使える来館計測手段なのかもしれない」と思い、詳しくお話を伺うことにしたのです。詳しく聞くと、個人情報保護法をしっかりと考慮した商品設計をされていました。
それに、Cinarraを使えば、私たちがこれまで着手してこなかった詳細な属性のターゲティングができるのも魅力でした。さらには、Cinarra独自の来館ロジックにより、来館者がどんな生活をしていて、どんなことをするのが好きで、といったパーソナリティ面までを把握できるということも魅力です。
──ユーザーの滞在時間を5秒単位で区切ったり、全国に設置されたWi-Fiの感知記録から趣味やライフスタイルなどの志向性を割り出すこともできるんです。計測は2019年3月1日から3月31日まで実施させていただき、18,000人のデータを取得することができました。実際にレポートをご覧いただいての感想をお聞かせいただけますか?
板津:かなり役立つデータが得られたと感じています。これまで見えていなかったデータを知ることができたし、見えていたデータについてはその妥当性を再確認できました。
特に来場者さんの来館頻度には衝撃を受けましたね。今回は1ヶ月という短い期間での計測ではありましたが、リピーターが思ったよりも少なかったんです。この結果を受けて、リピーター増加施策に注力していくべきだと感じました。
来館者の志向性『Cinarraセグメント』も興味深い結果でした。例えば、映画館に頻繁に足を運ぶ人が、『KITTE名古屋』にも来てくださっていることが分かります。過去に映画とのタイアッププロモーションを何度か実施したこともあって、映画好きの方がご来館くださっているのかなと思いました。
年齢や性別でのセグメントももちろん必要ですが、実際に目に留めていただけるかはその人の志向性やアンテナの方向によると思っています。いかにインサイトを捉え、お客様が欲しているものをご提供できるかが重要ですよね。でも定性的な調査を18,000人に対して実施するのは不可能ですから、定量調査で志向性が把握できるのはとてもありがたいです。
──志向性を元にしたセグメンテーションの類似手段としてCookieデータを元にしたオンラインでのコミュニケーションもあります。しかし映画館のサイトを踏んだユーザーは、映画を調べているだけであって実際に足を運んではいないかもしれません。Cinarraはリアルな行動に基づいたセグメントができるので、精度が高いのです。
板津:その通りですね。お申し込みをさせていただいたときも、リアルな行動に紐づいたデータであるという点に魅力を感じていました。行動データの計測手法にGPSやビーコンなどを使うものもあるようですが、CinarraはWi-Fiを使用しています。Wi-Fiなら地点だけでなく「何階にいるのか」までがわかるので、『KITTE名古屋』のようにフロアによって特性が分かれている館にはぴったりだなという気持ちもありました。
当初の予想がどれくらい覆るのかなってかなり楽しみにしていたんですけど、JPビルマネジメントが打ってきた施策の効果を改めて確認しつつ、今まで見えていなかったものまでを見せていただいたので、Cinarraには期待通りの価値をご提供いただけたなと思います。
今後のアクションとしては、まずはテナントさんにこの情報を提供し、改善や新しい取り組みに向けての動きをしていきたいです。
さらに、継続的な計測も検討していきたいと思います。今回は1ヶ月のみの実施でしたが、年間を通してどれくらいのお客さんが来ているかを見ていく必要がありますね。プロモーションによって来館者の属性にどういう変化が起こったのか、イベントが終わったあとの数ヶ月でどんな変化が起こるかなど、打った施策と来館者の動きを照らし合わせながら戦略を立てていきたいなと思います。
▲(左から順に)板津氏、シナラ栃薮
企業情報
企業名 | JPビルマネジメント株式会社 |
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本社所在地 | 〒100-7008 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー |
事業内容 | 日本郵便株式会社が行う不動産開発事業に係る賃貸用建物(JPタワー等)の運営管理業務(建物管理業務、テナント管理業務、建物・設備の保守管理業務等) |
企業サイト | http://jp-building.co.jp/ |